特化モデルと侮る勿れ。投げやすさと機動力を兼ね備えたオールラウンダー
ストランドはボディ側面を見て貰えば分かる通り、フィンガースピンのやりやすさに重点を置いたモデルです。 しかし、フィンガースピンモデルとしての魅力はは公式サイトやリワインド様のようなショップ説明文でたっぷりと伝えられています。そこで今回のレビューでは、フィンガースピン以外の通常トリックでの使用感をメインに感想を書いていきたいと思います。 まずスペックを見ると、直径は56mm、幅は49mmと近年の「スタンダードなワイドモデル」となっています。しかし、キャッチゾーン側の素材構成に大きな特徴があり、太めに作られたリムの内側半分からベアリング横まで、メタルボディを包み込むようにプラスチックが配置されています。 ここで気になるのが使用感ですが、プラスチックと金属でリムに重量差が生まれているので、見た目よりもリムの重量が外一点に集中しています。またキャッチゾーンではプラボディと金属ボディの間に僅かな隙間があるため、重量配分は見た目に反して「リムが細いタイプのHプロファイル」に近いです(例:ヴァルチャー)。そのため力を加えた後の加速が早く、それでいて直線的にキビキビと動いてくれます。 しかし、プラを含めたリムの実幅は太めに確保されているので、ヴァルチャーに比べると投げ出しでしっかりと回転をかけやすくなっており、キャッチ時の鋭さも緩和されています。 ほか、幅も広く確保されているため、ホリゾンタルトリックや腕や首を使ったボディトリックへの適性もかなり高いです。 つまり、ストランドは単なるコンセプトモデルではなく、よく回りよく動き、それでいて随所に扱いやすさの工夫が光るオールラウンドなワイドヨーヨーという面も持ち合わせているのです。 少し気になった点としては、初期ベアリングにオイルが塗ってあり、戻りが強めのセッティングになっている点が挙げられます。脱脂なり交換なりすればすぐ対応できるので、ヨーヨー慣れしている人ならそれほど苦戦せず解決できるかと思います。 また、エッジ横のバンプが大きく、レールトリックなどの細かい乗せ替えの際に僅かに引っかかる感触があります。個人的にはバンプのない形状、あるいはヴァルチャーやサンウイング、オーバークロックのような薄くて丸いタイプの方が好みかもしれません。 総評としては、ヨーヨーフレンズが目指した通り、フィンガースピンと通常トリック適性(とくに操作性、回転力、扱い易さ)がとてもハイレベルに組み立てられた万能機種であると言えます。 メタルをプラスチックで包み込む構造は他メーカーさんでもたまに見られますが、今作は中空構造やリム内での重量調整など、ヨーヨーフレンズらしいアイデアあふれる一品に仕上がっています。 個人的にはカット系のような今後のシリーズ展開を期待しています。気になった人はぜひぜひ。