またひとつ、歴史の歩み
個人的に発売前から注目の的だったのですが、意外なほどに注目が薄いようなのでレビュー大賞の応募も兼ねて書いてみました。一目見た時の美しい形状や外観が気に入り思わず購入。また、木製ヨーヨー+金属ベアリングのローラーウッディやフルメタルヨーヨーの先駆者であるSBシリーズを打ち出し、ヨーヨーの歴史を作り上げたトムクーンの競技用モデルということでも注目していました。競技用ヨーヨーのノウハウは開発に携わるチコヨーヨーカンパニーから得たものと思われますが、良くも悪くも前時代的であったトムクーンのヨーヨーに新しい風を吹き入れ、トムクーンの新しい歴史を刻む機種だと思います。まずこのヨーヨーを実際に手にしたときに感じたのが、一言でいえば高級感です。(なんとも陳腐な表現ですが・・・)大きめの直径とストレート形状が殆ど無い滑らかなインバースラウンド形状、そして鏡面仕上レベルの光沢。シリアルナンバーの記載、それだけでひとつのオブジェとして成立するような、ふつうの競技用では味わえない一線を画した雰囲気で所持欲が得られます。余談ですが、私の個体では研磨の跡とおもわれる黒くくすんだ汚れが隅のほう(主にサイドフェイス)に散見されました。これはこれで味があるという見方も出来ますが、無水エタノール等で丁寧に吹いてやれば本来の輝きを得られます。実際の使用感ですが、大きめの直径と厚めのリムから繰り出される投げ出しからのグンと強い回転のフィーリング、それに反してヨーヨー自体は軽めなので重量本来の軽やかさ、そして回転の強さに負けることのないコントロール性の高さがあります。Nate Dailey選手がクールな音楽とともにクールなトリックを決めるPVがその高いコントロール性を表現してると思いますwただしコレはもうこのヨーヨーの魅力であるから避けられないことですが、この鏡面ボディでは昨今流行りのブラスト加工のモデル等と比べると、やはりボディとストリング・身体の接触時のスリープロスは顕著に目立ちます。トリックのスピード性や複雑さが極まり、あらゆるロスを低減したい現代の競技用途としては中々看過できない要素です。1.6万という値段ですから、国産でもごまんと候補があがりますし高い買い物だしベストの選択をしたい!とおもう人にとっては中々選択肢には入りづらいところだと思います。しかし、ヨーヨーのプレイには競技用途以外のシーンも沢山あることですし、このフィーリングを得るためだけに一考する価値もまた、有ると思うのです。競技ヨーヨーをひと通り味わってから、違う方向性も味わってみたい、というような人にはちょうどいい感じかもしれません。またロス量が大きいといえども、そもそもロスを少なくすれば本来回転力はあるわけですから、ちゃんと扱えば競技シーンにもちゃんと応えてくれるはずです。