量産型汎用競技ヨーヨーの実力について
再入荷を機に思ったことを軽くレビューしていこうと思う。 技術進歩のスピードは凄まじく、幅50mmがそこまで珍しくもない存在になってきた。ただ、そういったヨーヨーを使って大会に出る人はまだまだ少人数だろうと思う。出たとしてもシグネチャーモデルが大半だ。そんな中でお出しされたこのヨーヨー。メーカーはチートコードでお馴染みのブランドン氏。非シグネチャーモデルで50mm。しかも大会実績まであるときた。元々曲がった性癖(シグネチャーよりも汎用量産品好き【買わない訳では無い】、メジャーよりマイナーを好む等々…)の自分にはビビっと来た機種。購入したのはシャイニーライトオレンジ。ちょっと気まぐれに今回はブラストなしを選んでみた。誰も買わなそうなカラーリングだが圧倒的コッパー(銅)感でなかなか面白い。まず握った感想だがやはり幅50mmの存在感。直径は普通だが横幅の影響で思ったよりも大きく思える。カチカチのHプロファイルではあるが一個一個の角はそこまで鋭くなく、握っていても柔らかさが際立つ。ブラスト無しなのもそれを助長しているかも。デザインは非常にシンプルで、リムに名前が小さく記載されているだけで他には何もなし。とても量産品らしい(誉め言葉)仕上がり。 振っての感想はと言うと、ぶっちゃけ特徴が無い。商品説明文通り、幅とコントロール性を重視しているのは分かる。これだけの幅で癖が無く、66gか?と思わせる軽快さと操作性の良さは特筆すべきものだ。それでいてスリープの伸びも申し分ない。精度も良く、変なブレやフラつきも無し。値段は流石にモノメタルでこれは安価・・・とは言いづらいが、性能を考えるとまあ納得してもいいだろうという範囲に収まる。 さて、個人的にこのヨーヨーに言いたいのは「量産型汎用品でも大会に優勝できる性能がある」ということ。一昔前なら当たり前な事だが、最近はシグネチャーモデルも増え、スポンサードメンバーも各メーカーで増えた結果、上位入賞者はシグネチャーモデルばかりというのも珍しくない。自分自身、シグネチャーモデルを否定する気は毛頭ないが、そうなると非シグネチャーモデルでも大会優勝や入賞は無理なのか?大会における非シグネチャーモデルの存在意義は?と考えてしまう。そんな中でXavier Ng選手がこのヨーヨーでシンガポール大会を優勝。勿論周りの選手レベルや本人の実力、更には運も絡むだろうが、それでも優勝したという事実には変わりない。個人的に競技ヨーヨーは「最終的に本人の練習・努力が全て」だと思っている。流石に全ては言い過ぎかもしれないが、6~7割実力、3~4割ヨーヨーの性能による補助くらいだと考えている。極論だが世界チャンプと言えども今更レイダーを使って大会優勝は無理だ。ヨーヨーにだって最低限性能が求められる。その求められる性能を、競技者に合わせて最大限発揮できるようにしたのがシグネチャーモデル。プレイスタイルが近い人なら他人のシグネチャーモデルでも馴染むかもしれないが、当然合わない人が出るのも必然である。更に言うなら自身の好みやスタイルがまだそこまで固まってない人が大会に出る時、何の機種を選べば良いか?デヴィアント+はそんな人への一つの回答になりうるだろう。特徴が無く癖も無い。悪く聞こえるかもしれないが、量産型汎用品としては極めて正しいあり方だ。誰が使っても一定のパフォーマンスを発揮できる。その気になれば大会優勝だって目指せる。それだけの性能をこのヨーヨーは持っている。お金に余裕があるならば、初心者にも、むしろ初心者にオススメしていいと自分は思う。また競技ヨーヨーにおける、一種の「性能基準」として購入するのもアリかもしれない。このヨーヨーから重量・直径・幅の好みを割り出していく。そこで自分の好みが分かればそれでよし、分からなくてもこのヨーヨーを使えばいい。なんせ性能は十分なのだから。「最も競技に適したモノメタルモデルを目指して」初心者にも、競技者にも、一度手に取ってみてもらいたい機種である。