チタンヨーヨーの入門
購入したのが一年以上前であるのに再販が無いこともあって書く機会が来ず、ようやくレビューを書く機会が来たので感じたことを出来る限り書いていこうと思います。 最初にケース。iYoYoのチタンヨーヨーには専用ケースが付属しており、一見するとヨーヨーケースには見えない程豪華。中には黒のスポンジが詰められており、実用性も高め。ミドルサイズ以下だと少々隙間があるものの、タイタニック他フルサイズヨーヨーならしっかりはまって衝撃吸収性も高そう。とにかく特別感・高級感は別物。 タイタニックはiYoYoのフラッグシップモデルであり金リムヨーヨーでも未だに人気の高いアイスバーグのフルチタンモデル(厳密にはアイスバーグの元であるバイメタル『スチール』がモデル)で、重量・サイズどちらもアイスバーグとほぼ変わりません。しかし振ってみるとやはり感覚はほぼ別物です。アイスバーグ(旧アイスバーグ・現アイスバーグクラシック)はバイメタルに近い癖・パワーがあり、金リムらしいリムのパワー感、ポリカボディの軽さ・程よい硬さによる切り返しの鋭さといった「軽量級パワータイプ」といった印象ですが、タイタニックはモノメタル化による癖の少なさ・重量の一体感による操作中の安定感・安心感を高めた「オールラウンドタイプ」だと感じます。商品説明通り、スチール・アイスバーグに比べてフィーリングはかなり柔らかく、特にヨーヨーの切り返し時はそれが顕著に感じられます。アイスバーグに慣れている人だと野暮ったく感じる人もいるかもしれません。フルチタンボディによるボディの均一化もあってアイスバーグよりも重みを感じられ、振っている最中の存在感や安心感・手ごたえはタイタニックが上。それでいて微細な設計もあってか、スリープの伸び・最後の粘りは金リムであるアイスバーグに比肩します。現代では幅が狭めの42mmというのも大きいでしょう。今のトレンドである45mm前後に慣れているとちょくちょくマウントを外したりしますが、幅広がトレンドの今になってはそれも逆に個性となりえます。サイドフェイス中央にアイスバーグの名残ともいえるフィンガースピンスポットがありますが、アイスバーグに比べると二回りほど小さく浅いので、正直気休めレベルです。 そしてタイタニック一番のポイントが表面加工、つまりはカラーリング。鏡面加工と見まがうほどの綺麗さ。ヨーヨーの精度もあってか、回転させても回転しているかわからない程均一に輝いており、もはや芸術品。振るのを躊躇っても仕方ないレベルです。だいたいのチタンモデルがRAW仕様なのでこれは珍しいのではないでしょうか。近年はチタンモデルでもブラストや焼入れ、その他カラーリングのついたチタンモデルが出てきましたがここまで綺麗な仕上げはほぼ見たことがありません。ただ、個人的に唯一にして最大の懸念点がこの表面加工で、非常に綺麗な代わりに摩擦が大きく、手やストリングに接触した際のロスは他のヨーヨーに比べて大きいです。個人的にはモノメタルのブラスト無し(俗に言うシャイニー系)よりも大きく、実践用で使うなら手袋は必須かと。それか既に売り切れですがRAWモデルも使うか、になります。まあそれを差し引いてもこの綺麗さはお釣りが来ますが。 性能の総評は、『アイスバーグの尖った点をマイルドにしながらバランスよく纏めた万能チタンモノメタル』です。恐らくアイスバーグに比べて使いやすさは上だと思います。それでもスリープの伸び・粘りがモノメタルながら金リムと同等なのは流石チタンモデルといったところ。ただ厳しいことを言えば、いくつかのチタンヨーヨーを振ってきた身としては「チタンヨーヨーの中では」性能は下の部類です。なので「チタンヨーヨー=バイメタルを超える凄い高性能」みたいな先入観があると肩透かしを食らうかもしれません。それでもチタンモデルとしては破格の値段(基本5~6万が相場のチタンヨーヨーにおいて3万6000円。これでも原材料高騰による値上げをした方で、自分が購入した時は3万円を切っていた)で、しかもこれ以上ない美しい表面加工は他のチタンにはない魅力です。自分は何よりiYoYoが推しメーカーだったので最初のチタンは絶対にこのタイタニックに決めており、買ったことに後悔はありません。チタンモデルは非常に高価なので欲しくても買えない、または自分に合ったモデルが欲しいけど情報が無い・・・といった事が多々あるでしょう。そういった点ではタイタニックはチタンモデルでも敷居が低く、チタンヨーヨーがどういった物かという事についても優れていると思います。万一自分に合わないなら、いっそのこと観賞用に飾るのも全然アリですし、コレクションとして秘蔵するのも十分選択肢として選べます。 最後に、このレビューがタイタニックを買う際の目安になれば幸いです。