ヨーヨーは楽しむもの。それを教えてくれる一品。
中村名人世代、恐らく50歳後半以降の人にとってのヨーヨーといえばこのヨーヨーのはず。デザインこそ違いはあるものの、基本的にはフレッシュシングスの出しているコカ・コーラヨーヨーと性能は全く同一品。当時の性能からすれば劇的な進化だが、現代のプラヨーからすると残念ながら性能は低め。軽いし、エッジは高い、幅も狭い、ベアリングも小さいのでスリープ時間も短い・・・かといってルーピングはと言えばできなくはないけど本家ルーピングヨーヨーには及ばない。どっちつかずの中途半端。ならこのヨーヨーはどう使うのか。答えはひとつ。楽しむ為だ。ただ無心に振って、懐かしんで、笑いあう。それだけでいい。自分を含めた復帰勢も、昔からの古参勢も、ヨーヨー界で注目するのはやはり競技だと思う。地区大会、全国大会、世界大会、果てにはオンライン部門もできて昨今の競技界隈はこの状況下でも進展を見せている。その一方で、ただ純粋にヨーヨーを「楽しみたい」という人がいるのもまぎれもない事実だ。こっちとしては現代の進化したフルメタルヨーヨーやプラヨーを薦めたい気持ちはあるけど、そうゆうのじゃないんだよなぁ・・・と思う人もいるかもしれない。ただ単純に、グラビティプルをしたり、ウォークザドッグをしたり、フォワードパスをしたり、ロングスリーパーをしたり。それだけで満足な人だっている。むしろ、このヨーヨー世代の人はそれが常識な世代。今みたいな複雑な技やロングスリープが必要な技は無かった。そういう人の為に、このヨーヨーはあるのだ。自分も時折このヨーヨーを出して振っていると、どことなく懐かしさを感じる時がある。回転力の弱さやレスポンスの野暮ったさすら許容してしまう、近代の競技ヨーヨーではまず味わえないフィーリング。性能だけが全てじゃない。最先端のヨーヨーも勿論いいけど、たまにはこうしたレトロなヨーヨーで純粋にヨーヨーを「楽しんで」みてはどうだろうか?