良くも悪くも“おもちゃ感”の強い楽しいヨーヨー
[基本性能]純粋なラウンド形状ではなく、一段緩いステップがあります。ボディが重くベアリングの回転もスムーズなのでとてもよく回りますが、姿勢安定性はそこまで良くないです。また少々重過ぎて動かしにくいです。ハブスタックが大きく軸の精度も良いので、並みのハブスタック機種より回転の安定感があります。[モーター駆動]空転中でもスイッチを押すと再加速します。ヨーヨーの回転速度を認識してモーターの速度を調整しているのか、空転状態と加速状態が非常に滑らかに切り替わります。モーターによる最大加速はそれなりのもので、慣れないと少しおっかないくらいの勢いですが、加速中でもボディを手で掴めば簡単に回転が止まるので安全です。ただこれをやると内部機構に負荷がかかるかもしれませんのでご注意を。スイッチには少し固さがあるので、力加減を覚えればスイッチを押さずに普通のハブスタックとして掴めます。[構造]電源スイッチなどはありません。ボディのスイッチのある方にモーターと制御回路、反対側にバッテリーが入っていますので、ボディを左右にバラしておくと誤作動を避けられます。しかしアクセルが電気端子になっているので剥き出しでの放置はお勧めしません。埃や湿気は大敵です。スイッチ側のリム外側には無数に溝が開けられていますが、これは回転に伴って空気を出入りさせ、内部を冷却するものと考えられます。ギャップ側のモーター付近には排熱用に小さな穴が開いています。穴の仕上げが滑らかなのでストリングが当たって磨耗しやすいということはないです。キャップを留めているネジは表面のステッカーの下に隠れています。私の物はもともとステッカーが浮いていたので、試しに少し剥がしてスイッチ側のネジを3つ外してみましたが、それだけではキャップは外せませんでした。別の固定ピンがあるのか単にはめ込みが固いだけなのかわかりません。ギアのグリスメンテ等はできなさそうです。[充電]電池交換ではなく、充電式なのは良いですね。電池蓋の開け閉めが不要なので。充電用のUSBケーブルが付属しますが、本体との接続ピンがUSB端子ではない専用品なので破損や紛失は厳禁です。本体側にマイクロUSBやType-C端子があれば良かったのですが。ケーブル側に充電のLEDインジケータがあるのですが、本体にもLEDが仕込んであるのでそちらを使えば十分だったのではないでしょうか。[比較]モーター駆動ヨーヨーのパイオニア(他にもあるかもしれませんが私は存じ上げません)であるハイパーインフィニティは、半永久的に回転することをコンセプトとしていました。そのため空転機構がなく、しかもヨーヨーの回転初速が速すぎるとモーター加速が追いつかずに止まってしまうというジレンマがありました。一方、カオスドラゴンはその都度加速を与えるというコンセプトです。最も秀逸なのは、空転とモーター駆動を両立させた部分だと思います。その上で重量バランスを考慮し、ちゃんと使えるバインドヨーヨーに仕上がっています。[総評]ヨーヨーが高速回転する楽しさをお手軽に体験できます。ヨーヨーとしての存在意義を問われますが、投げなくてもストリングがなくても遊べます。でもそれが楽しい。逆にヨーヨー入門用・練習用としては向きません。重たくて操作しにくいからです。ハンドスピナー的な玩具が欲しい人、ヨーヨー経験者で新たなプレースタイルや遊びを創出したい人、一風変わったヨーヨーを手に入れたい人にお勧めです。